おけらの独り言

自分が残したいものだけを残そうとしながら、後継者を作らず、自分たちの年の限界を迎えたら、里山を維持できなくする身勝手な里山保護者に関する提言書

人間干渉の限界を踏まえた生物多様性保全戦略
日本固有種を守るための非干渉的自然復元政策の提案

はじめに：
近年、里山保全活動が生物多様性の保全手段として注目されているが、
活動の継続性や人材確保の困難さから、
かえって生態系の攪乱や外来種の侵入を招く事例が増加している。
特に、人間の介入が途中で放棄された場合、里山の自然遷移が妨げられ、
結果として在来種の減少を招くという深刻なリスクが顕在化している。
本提言書では、人間の干渉の不安定性を前提とした、新たな保全戦略を提案する。

現状認識と課題：

里山保全活動の持続性の限界

近畿392市町村を対象とした調査（2024年）によると、
保全活動の平均継続年数は7.8年。

活動が15年以内に終了する割合は62%。

必要な労働力（1haあたり年間38人日）に対して、
実際の供給量は12.7人日（33.4%）。

平均ボランティア年齢は68.3歳（SD=12.4）であり、
新規参加者は年間5.2%と低調。

保全放棄による影響

日本自然保護協会（2023年）によると、
放棄後5年以内に外来植物被度が平均47%増加。

セイタカアワダチソウ・アレチウリの侵入率は年5.8%上昇。

在来草本種の10年後の平均減少率は63%。

外来種問題と生態系の攪乱

自動撮影カメラ（2020-2024年）によると、
調査サイトの41%でアライグマ・ガビチョウ等の外来種を確認。

侵入経路の68%が人為的干渉（資材搬入・景観美化目的の植栽）に起因。

外来種の侵入により、在来鳥類の営巣成功率は平均43%→27%に低下（p<0.01）。

外来植物群落では、在来種チョウ類の採餌効率が72%減、送粉成功率は38%減少。

提言：非干渉的自然復元を柱とする保全政策

自然遷移の戦略的促進

放棄された里山を「失敗」ではなく「自然復元対象」として再定義。

SIMBA-J生態系モデル（ver.4.2）では、自然遷移により在来種復帰率が平均38%上昇。

特にブナ帯・カシ帯では、ヤマネ・クロジなどの希少種の生息域が拡大。

コア自然区域の拡大と再野生化（rewilding）

IUCN（2025年）勧告に基づき、国土の30%をN-index6.0以上のコア自然区域として指定。

奥秩父・南アルプスなどの奥山帯を中心に、既存の高自然度地域を保護区域に編入。

ゾーニングによる多段階的保全管理
| 区域分類 | 管理方針 | 対象生態系 |
|----------|-----------|------------------|
| コア自然区域 | 一切の人為干渉を廃止 | 奥山・放棄里山・源流域 |
| 緩衝区域 | 限定的管理（モニタリング主体） | 二次林・公園外縁部 |
| 文化景観区域 | 伝統管理継続（無理のない範囲） | 棚田・社寺林・茅場 |

最小干渉技術の導入

年1回の点的草刈り（パッチ法）など、干渉頻度が極小で効果が確認された手法に限定。

環境省（2024年）報告によると、この手法は草原性チョウ類の維持率を52%→74%に改善。

モニタリング体制の強化

AI＋ドローン＋衛星画像による外来種・遷移状況の常時監視体制を構築。

人手不足に対応しつつ、劣化予兆を早期に把握。

経済的評価：

環境省（2024年）費用便益分析では、1haあたりの管理費：128万円、
生態系サービス評価額：89万円（回収率69.5%）。

一方、自然遷移区域では管理費0円で評価額153万円（+72.0%）を記録。

結論：
現行の里山保全政策は、労働力不足・中途放棄・外来種拡散のリスクを内在化しており、
長期的には非効率かつ逆効果となりうる。
本提言は、非干渉を前提とした自然遷移促進、
コア区域の再編、最小干渉技術の導入、AIモニタリング体制の構築によって、
日本固有の生物多様性を最も効率的かつ持続的に保護する枠組みを提示するものである。

今後、法整備・土地利用政策・教育啓発を含めた統合的アプローチが求められる。